もしもの災害時、家族みんなで守る!避難生活・在宅避難での衛生と健康
はじめに:災害時、家族の健康と衛生を守るために
地震や台風などの大きな災害が起こると、普段の生活が難しくなります。電気やガス、水道が止まったり、家で安全に過ごせなくなったりすることもあります。このような状況では、病気になったり、けがをしたりするリスクが高まります。特に、避難所でたくさんの人が一緒に過ごす場合や、自宅で生活を続ける場合でも、衛生状態が悪くなりやすいです。
大切な家族、特に小さなお子さんや高齢の家族がいる場合、病気や感染症からどのように守るか、心配になる方も多いでしょう。
このページでは、もしもの災害が起こったときに、家族みんなで健康に過ごすために知っておきたい「衛生管理」と「健康管理」のポイントについて、やさしい日本語でご紹介します。避難所で生活する場合と、自宅で過ごす場合(在宅避難)の両方について見ていきましょう。
避難所での衛生と健康管理
避難所は、多くの人が集まる場所です。そのため、病気が広がりやすい環境になることがあります。家族みんなで協力して、衛生に気を配り、健康を守ることが大切です。
手洗い、うがい、咳エチケット
感染症を防ぐための基本です。
- 手洗い: 食事の前、トイレの後、外から戻ったとき、咳やくしゃみをした後など、こまめに手を洗いましょう。水が使えない場合は、アルコール消毒液を使います。
- うがい: 可能であれば、うがいをしてのどを清潔に保ちましょう。
- 咳エチケット: 咳やくしゃみが出るときは、マスクをするか、ティッシュやハンカチ、服の袖で口や鼻を覆いましょう。他の人から顔をそらすことも大切です。
マスクの着用
人が集まる場所では、マスクを着用することで、自分や周りの人を感染症から守ることができます。避難所に行くときは、マスクを準備しておくと良いでしょう。
共同スペースでの注意点
避難所では、トイレや炊事場などが共有スペースとなります。
- トイレを使った後は、きれいに使うことを心がけましょう。
- 食料や水を扱う場所は清潔に保ちましょう。
- 自分のスペースだけでなく、周りの場所もみんなで協力してきれいにしましょう。
- ゴミは指定された場所に正しく捨てましょう。
十分な睡眠と休息
心身の疲れは、病気になりやすくします。
- 可能な限り、静かな場所で休む時間を作りましょう。
- 夜はしっかりと眠るように努めましょう。アイマスクや耳栓があると、眠りやすいことがあります。
食事の注意点
食料は、傷みにくいものを選び、清潔な手で扱いましょう。
- 温かい食事は、なるべく早く食べましょう。
- 冷たい食事は、保冷剤などで冷たさを保ち、長時間常温に置かないようにしましょう。
- 食品アレルギーがある家族がいる場合は、配られる食料の内容をしっかり確認しましょう。
持病のある家族のケア
持病がある家族がいる場合、薬の管理が非常に重要です。
- 必要な薬を非常用持ち出し袋に入れておきましょう。
- 避難所の医療班や担当者に、持病や必要な薬について伝えましょう。
- 体調の変化に注意し、少しでもいつもと違う様子があれば相談しましょう。
ストレス軽減と心のケア
避難生活は、知らない人との共同生活や、先の見えない不安からストレスが溜まりやすいです。
- 家族や友人、周りの人と話す時間を作りましょう。
- 軽い運動やストレッチをする、本を読むなど、リラックスできることを見つけましょう。
- 子供たちが遊びや学びの時間を確保できるようサポートしましょう。
- 眠れない、食欲がない、気分が落ち込むなどの症状が続く場合は、専門機関や相談窓口に相談することも考えてください。
在宅避難での衛生と健康管理
自宅が安全で、ライフラインの一部が使えなくても、自宅で過ごすことを「在宅避難」と言います。在宅避難でも、衛生状態が悪化したり、体調を崩したりするリスクがあります。
水が使えないときの衛生管理
断水は、在宅避難で最も困ることの一つです。
- 飲み水と生活用水の確保: 事前に十分な水を備蓄しておきましょう。飲み水はペットボトル、生活用水(トイレ、手洗いなど)は、お風呂の水をためておく、ポリタンクに水道水をためておくなどの方法があります。
- トイレ: 断水時は水洗トイレが使えません。事前に簡易トイレや凝固剤を準備しておきましょう。使用済みのものは、感染症を防ぐために適切に処理する必要があります。
- 手洗い: 備蓄しておいた水やウェットティッシュ、アルコール消毒液を使って、こまめに手を清潔に保ちましょう。
食事の工夫
電気が使えない場合でも、衛生的に食事ができるように工夫が必要です。
- 火を使わない食事: カセットコンロやガスボンベがあれば温かい食事ができますが、火を使わずに食べられるレトルト食品や缶詰、乾物などを備蓄しておくと便利です。
- 食品の保存: 冷蔵庫が使えないため、常温で保存できる食品を選びましょう。開封したものは早く食べるか、衛生的に保存する方法を考えましょう。
- 調理器具・食器:使い捨ての皿やコップ、割り箸などがあると、洗い物が減り、水を節約できます。
ゴミの処理
ゴミ収集が止まることがあります。
- 生ゴミは匂いが出やすく、虫が集まる原因になります。しっかりと密閉できる袋に入れましょう。
- ゴミを分別し、可能な限りコンパクトにまとめましょう。
- 地域の指示に従って、ゴミを一時的に保管するか、指定された場所に持ち込みましょう。
換気と清掃
閉め切った状態が続くと、空気が悪くなります。
- 安全が確認できたら、窓を開けて部屋の空気を入れ替えましょう。
- ホコリや汚れを拭き取るなど、できる範囲で掃除をして、衛生的な環境を保ちましょう。
体調を崩した場合の対応
災害時は医療機関も被災している可能性があります。
- 軽い症状の場合は、自宅にある常備薬で対応します。
- 体温計などで体調をチェックし、記録しておきましょう。
- 高熱やひどい咳など、症状が重い場合は、地域の医療機関や相談窓口に連絡を取り、指示を仰ぎましょう。自治体のホームページなどで医療機関の情報を確認できます。
家族みんなでできる!事前の準備と話し合い
災害が起こる前に、家族みんなで準備をしておくことが、もしものときの健康と衛生を守るためにもとても大切です。
- 防災グッズの確認: 非常用持ち出し袋の中に、マスク、アルコール消毒液、体温計、ウェットティッシュ、石鹸、常備薬、救急セットなど、衛生・健康関連のものがしっかり入っているか確認しましょう。
- 備蓄品: 水、食料に加えて、簡易トイレやゴミ袋なども備蓄しておきましょう。
- 家族会議: 災害が起こったときに、どこに避難するか、どのように連絡を取り合うかといった計画だけでなく、「もしも家族の誰かが体調を崩したらどうするか」「衛生のために何に気をつけるか」といったことについても話し合っておきましょう。子供にも分かりやすく説明することが大切です。
- 地域の情報確認: 災害時の避難所での感染症対策の方針や、医療支援に関する情報など、住んでいる自治体の情報を事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ:冷静な備えが家族を守る
もしもの災害は、私たちの生活に大きな影響を与えます。不安を感じることもありますが、正しい知識を持って、落ち着いて行動することが大切です。
家族みんなで衛生に気を配り、お互いの健康状態を気にかけながら支え合うこと。そして、事前の準備と家族での話し合いをしっかり行うことが、災害を乗り越える力になります。
このページの情報が、あなたの家族の防災準備に役立つことを願っています。