もしもの災害後、家族みんなで取り組む心のケア
災害が起きた後、心や体に起こる変化
大きな災害が起きた後、体は無事でも、心には大きな負担がかかることがあります。不安や恐怖を感じたり、眠れなくなったり、食欲がなくなったりすることがあります。これは、心が大きなストレスを受けた時に起こる自然な反応です。
これらの心の変化は、大人だけでなく、子供や高齢者にも起こる可能性があります。家族によって、また一人ひとりによって、感じる気持ちや体の調子は違います。
家族の心のケアが大切な理由
心のケアは、体の怪我を治すのと同じように大切です。特に、災害というつらい経験をした後は、心も疲れています。心が元気でないと、日常生活に戻るのが難しくなったり、体調を崩しやすくなったりすることもあります。
家族みんなで心のケアに取り組むことで、お互いを支え合い、安心して気持ちを表現できる環境を作ることができます。これは、家族が再び日常の生活を取り戻すためにとても役立ちます。
家族みんなでできる心のケア
1. 家族で気持ちを話し合う時間を持つ
- 家族みんなで集まって、今日の出来事や感じたことを話す時間を作りましょう。
- 「怖いと思ったこと」「困っていること」「嬉しかったこと」など、どんな小さなことでも話して良いことを伝えましょう。
- 話すのが難しい場合は、絵を描いたり、文字に書いたりするのも良い方法です。
- 大切なのは、話を聞く人が「すごいね」「大変だったね」など、相手の気持ちに寄り添うことです。アドバイスをする前に、まずはじっくり話を聞きましょう。
2. 安心できる環境を作る
- できるだけ、家族が一緒に過ごす時間を作りましょう。一緒にいることで安心感が生まれます。
- 子供が甘えたり、いつもより抱っこを求めてきたりしたら、優しく応えてあげましょう。
- 好きな音楽を聞く、お気に入りのおもちゃで遊ぶ、温かい飲み物を飲むなど、心が落ち着く時間を作りましょう。
3. 日常の生活リズムを取り戻す
- 災害前と同じように、決まった時間に起きる、ご飯を食べる、寝るなど、できるだけ規則正しい生活を心がけましょう。
- 学校や幼稚園、仕事が始まったら、通うようにしましょう。普段の生活に戻ることは、安心感につながります。
- 難しい場合でも、少しずつできることから始めてみましょう。
4. 体を動かす時間を作る
- 外で散歩したり、軽い体操をしたり、体を動かすことは、心の健康にも良い影響があります。
- 公園で子供と一緒に遊ぶ、家族でストレッチをするなど、無理のない範囲で体を動かしましょう。
5. 情報との付き合い方を考える
- 災害に関するニュースを見すぎたり、インターネットで情報を探しすぎたりすると、不安な気持ちが大きくなることがあります。
- 必要な情報を得ることは大切ですが、見る時間や回数を決めたり、信頼できる情報源(テレビ、ラジオ、自治体の情報など)を選んだりしましょう。
- 夜寝る前には、災害に関する情報を見ないようにするなど、工夫しましょう。
子供や高齢者の心のケアについて
子供や高齢者は、自分の気持ちを言葉で伝えるのが難しい場合があります。いつもと違う様子がないか、周りの大人が注意して見守ることが大切です。
子供へのケア
- 子供は、大人が思っている以上に周りの状況や大人の気持ちを感じ取っています。大人が落ち着いて対応することが、子供の安心につながります。
- 怖い夢を見る、おねしょをする、爪をかむなど、災害後にいつもと違う行動が見られることがあります。これは不安のサインかもしれません。優しく見守り、「大丈夫だよ」と安心させてあげましょう。
- 災害について、子供の年齢に合わせて分かりやすい言葉で説明しましょう。嘘をつく必要はありませんが、怖い情報を与えすぎないようにしましょう。
- 遊びの時間はとても大切です。一緒に遊んだり、絵本を読んだりする時間を作りましょう。
高齢者へのケア
- 高齢者は、体力が落ちていたり、持病があったりする場合、災害の影響を受けやすいことがあります。
- 不安や寂しさを感じやすくなることがあります。普段よりもこまめに声をかけ、一緒に過ごす時間を作りましょう。
- 体の不調を訴えることが増えるかもしれません。話を聞き、必要であれば医療機関に相談しましょう。
- 慣れない避難所や生活の変化で、認知機能が一時的に低下することもあります。できるだけ普段の生活に近い環境を整え、 familiar なもの(写真など)を近くに置くと良いでしょう。
専門機関への相談をためらわない
もし、家族の誰かが強い不安を感じていたり、眠れない日が続いたり、食事があまり摂れなくなったりするなど、心配な様子が長く続く場合は、一人で抱え込まずに専門機関に相談することも大切です。
- お住まいの自治体には、心の健康に関する相談窓口があることが多いです。役所の福祉課や保健センターなどに問い合わせてみましょう。
- 病院の精神科や心療内科の医師、カウンセラーなどに相談することもできます。
- 外国人向けの相談窓口や、多言語で対応してくれる専門機関もあります。インターネットで「〇〇市(お住まいの地域名) 心の相談 外国人向け」などと調べてみましょう。
心のケアは、すぐに効果が出るものではないかもしれません。焦らず、家族みんなでゆっくりと、お互いを大切にしながら取り組んでいくことが大切です。