もしも災害時に家族が離れていたら?その場で命を守る行動と連絡方法
導入:家族が離れている時に災害が起きたら?
日本で生活されている外国人住民の皆さま、こんにちは。「やさしい日本語・多言語防災ナビ」です。
日頃から、ご自宅での防災対策や、家族みんなで避難について話し合うことはとても大切です。しかし、地震や台風などの災害は、家族が一緒に家にいるときだけでなく、それぞれが学校や職場、買い物など、別の場所にいる時に起きる可能性もあります。
もし、皆さんが外出中に大きな災害が起きたら?お子さんが学校にいる時に地震が起きたら?お父さんやお母さんが仕事中に電車が止まってしまったら?
このような状況で、どうすれば家族みんなの安全を確保できるのか、不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、災害発生時に家族が離れていても、それぞれの場所で落ち着いて命を守るための行動と、家族がお互いの安否を確認するための方法について、具体的に説明します。
その場で命を守るための行動:場所別ガイド
災害が起きたら、まずは慌てずに、今いる場所で自分の身の安全を最優先に守ってください。場所によって、取るべき行動が異なります。
自宅以外の建物の中にいる場合(職場、学校、病院、デパート、スーパーなど)
- 地震の場合:
- 机や丈夫な家具の下に隠れてください。頭や体を守ることが最も重要です。
- 窓ガラスや照明器具など、落ちてきそうなものから離れてください。
- 建物の揺れが収まるまで、その場で待機してください。
- 揺れが収まったら、建物の管理者の指示に従って行動してください。慌てて外に飛び出すのは危険です。
- 火災の場合:
- 火元から離れ、煙を吸わないように姿勢を低くして避難してください。
- 誘導灯(非常口のマーク)の指示に従って避難してください。
- エレベーターは使わないでください。階段を利用してください。
- 避難中は、押したり走ったりせず、落ち着いて行動してください。
屋外にいる場合
- 地震の場合:
- 看板、ガラス窓、ブロック塀、自動販売機など、倒れたり落ちてきたりする可能性のあるものから離れてください。
- カバンなどで頭を守ってください。
- 開けた場所(公園など)に移動できる場合は移動してください。
- ビル街にいる場合は、ビルの壁際から離れてください。
- 台風や大雨の場合:
- 頑丈な建物の中に避難してください。
- 増水した川や水路には絶対に近づかないでください。
- アンダーパスなど、低い土地の道路は急速に浸水することがありますので、近づかないでください。
- 強風にあおられないよう、十分注意してください。
電車やバスに乗っている場合
- つり革や手すりにしっかり掴まってください。
- 座っている場合は、前の座席などに掴まって身を守ってください。
- 急停車する場合がありますので、転倒しないように注意してください。
- 乗務員の指示に従って行動してください。勝手に電車やバスから降りるのは危険です。
家族との連絡方法と安否確認
それぞれの場所で自分の安全を確保したら、次に家族の安否を確認しましょう。災害時は電話回線がつながりにくくなることがあります。様々な方法を組み合わせて使うことが大切です。
災害用伝言ダイヤル(171)
- NTTが提供する声の伝言板サービスです。
- 電話番号「171」に電話をかけ、音声ガイダンスに従って録音や再生を行います。
- 自宅の電話番号や携帯電話の番号を使って、メッセージを残したり聞いたりできます。
- 使い方の練習(体験利用)ができる日もあります。事前に家族みんなで練習しておくと良いでしょう。
災害用伝言板(web171)
- インターネット上で安否情報を登録・確認できるサービスです。
- パソコンやスマートフォンから利用できます。
- 自分の電話番号や名前、安否情報などを文字で登録し、他の人が電話番号などで検索して確認できます。
- 操作方法を事前に確認しておくと、いざという時にスムーズに使えます。
携帯電話会社の災害用伝言板
- 各携帯電話会社(ドコモ、au、ソフトバンクなど)が提供する安否確認サービスです。
- 契約している会社のサービスを利用できます。
スマートフォンアプリやSNS
- LINE、X(旧Twitter)、FacebookなどのSNSやメッセージアプリも、安否確認に役立ちます。
- LINEには「LINE安否確認」機能があります。
- X(旧Twitter)で自分の無事を知らせたり、情報を集めたりすることも有効ですが、不確かな情報に注意が必要です。
- 通信が不安定な場合もあるため、複数の手段を準備しておくことが大切です。
事前に家族と話し合っておくべきこと
災害発生時に家族が離れていても困らないように、日頃から話し合って決めておくべき大切なことがあります。
- 避難場所の確認: 自宅周辺だけでなく、それぞれの学校や職場、よく行く場所の近くにある避難場所や、災害時に安全な場所を確認しておきましょう。ハザードマップ(災害の危険性を示す地図)を家族みんなで見るのがおすすめです。
- 共通の集合場所: もし災害が起きて自宅に帰れなくなった場合や、バラバラになってしまった場合に、どこで落ち合うか、あらかじめ決めておきましょう。自宅の近く、親戚の家、広い公園など、状況に合わせていくつか候補を決めておくと良いでしょう。
- 連絡が取れない場合のルール: 電話もメールもつながらない場合に、どうやってお互いの無事を確認するか、いつまで集合場所で待つかなど、ルールを決めておくと、不安が軽減されます。
- 連絡手段の確認: 災害用伝言ダイヤルやweb171の使い方、家族の携帯電話番号、子供の携帯電話・スマートフォンの使い方、学校や幼稚園の緊急連絡網などを確認しておきましょう。
- 子供や高齢者への伝え方: 小さなお子さんには、分かりやすい言葉で「地震が来たら、まず頭を守るんだよ」「先生やおうちの人の言うことをよく聞くんだよ」と伝えてください。高齢の家族がいる場合は、災害時の避難方法や連絡方法を一緒に確認し、必要であれば緊急連絡先などを書いた紙を渡しておくと安心です。
自宅への帰宅判断と移動の注意点
災害発生後、すぐに自宅に帰ろうと慌てて移動するのは危険な場合があります。
- むやみに移動しない: 災害直後は道路や交通機関が混乱し、二次災害の危険が高まります。無理な移動は避けましょう。
- 情報収集: テレビ、ラジオ、インターネットなどで、交通情報や災害の状況を確認し、安全が確認できてから移動を開始してください。
- 「帰宅困難者」になったら: 災害で交通機関が止まり、自宅まで帰れなくなった人を「帰宅困難者」(きたくこんなんしゃ)と呼びます。大都市などでは、たくさんの人が同時に帰宅困難者になる可能性があります。
- 無理に歩いて帰らず、安全な場所に留まることが推奨されています。
- 自治体や企業が、一時的に滞在できる施設(一時滞在施設)を用意する場合があります。駅の周辺などで案内されることが多いです。
- 水や食料、毛布などが提供される場合もありますので、指示に従ってください。
まとめ:家族で話し合い、確認し合うことの大切さ
この記事では、災害時に家族が離れている場合の対応について説明しました。
大切なのは、それぞれの場所で安全を確保すること、そして家族がお互いの安否を確認し合うことです。そのためには、日頃から家族みんなで「もしも」の時のことを話し合い、どこで、どうやって安全を確保するか、どうやって連絡を取り合うか、どこに集まるかなどを具体的に決めておくことが非常に有効です。
お子さんや高齢のご家族にも、分かりやすい言葉でこれらの情報を伝え、一緒に確認する時間を作りましょう。家族の安全のために、今日からぜひ話し合いを始めてください。
この情報が、皆さまの家族の防災対策の一助となれば幸いです。