もしもの災害時に!家族みんなで知っておきたい応急手当
災害時に備える:家族で学ぶ応急手当の大切さ
地震や台風などの災害が起きたとき、救急車がすぐに来られない状況になる可能性があります。そのような時、目の前で家族の誰かがケガをしてしまったら、どうすれば良いでしょうか。医療の専門家でなくても、基本的な応急手当の方法を知っていれば、大切な家族の命を守ったり、症状の悪化を防いだりすることができます。
特に、小さなお子さんや高齢のご家族がいる場合、急なケガへの対応はとても重要です。家族みんなで、落ち着いて行動できるように、日頃から基本的な応急手当について話し合い、準備しておくことをお勧めします。
災害時の応急手当:まずは落ち着いて行動する
災害時にケガ人が出た場合、一番大切なのは「落ち着いて行動すること」です。
- まず、自分の安全を確保してください。 周囲に危険なもの(落ちてきそうな物、火災など)がないか確認します。安全でない場所にいる場合は、安全な場所に移動してから対応します。
- ケガをした人の意識を確認します。 肩などを優しくたたきながら「大丈夫ですか?」などと声をかけます。返事があるか、目を開けるかなどを見ます。
- 呼吸をしているか確認します。 お腹や胸が動いているか、口元や鼻に耳を近づけて息を感じるかなどを確認します。
- ケガの様子を確認します。 出血しているか、骨がおかしな方向に曲がっていないか、やけどはないかなどを確認します。
これらの確認を素早く行うことが、その後の対応を決めるために必要です。
家庭でできる基本的な応急手当の方法
特別な道具がなくても、身近にあるものを使ってできる基本的な応急手当をいくつかご紹介します。これらは医療行為ではなく、あくまで専門家による手当が受けられるまでの「一時的な対応」です。
1. 出血を止める(止血)
軽い切り傷などからの出血は、清潔な布で傷口をしっかり押さえることで止めることができます。
- 準備するもの: 清潔なハンカチ、タオル、ガーゼなど
- 方法:
- 手袋があれば着用します(感染予防)。
- 出血している場所を確認します。
- 清潔な布をたたんで厚くし、直接、傷口に当てます。
- 布の上から手で体重をかけながら、強く、持続的に押さえます。5分から10分程度、指を離さずに押さえ続けます。
- 出血が止まらない場合でも、最初に当てた布は取り除かず、その上から新しい布を重ねてさらに押さえます。
- 可能であれば、出血している場所を心臓より高い位置に上げます。
注意点: 止血している布は、出血が止まるまで絶対に外さないでください。外すと、固まり始めた血が剥がれて再び出血する可能性があります。
2. ケガをした場所を保護する
出血が止まった後や、すり傷など、傷口を清潔に保ち、さらに悪くならないように保護することが大切です。
- 準備するもの: 清潔な布、ガーゼ、絆創膏など
- 方法:
- 可能であれば、水道水や清潔な水で傷口の汚れを洗い流します。
- 清潔なガーゼや布で傷口を覆います。
- 動かしてはいけない場合は、副木(木の板など固いもの)と包帯などで固定することも考えられますが、無理はしないでください。
3. やけどの対応
熱いものに触れたり、お湯がかかったりしてやけどをした場合は、すぐに冷やすことが重要です。
- 準備するもの: 清潔な冷たい水(水道水など)
- 方法:
- やけどをした場所を、痛みがやわらぐまで、清潔な冷たい水で冷やし続けます。服の上からやけどをした場合、無理に脱がさず、服の上から冷やしてください。
- 冷やした後、清潔な布やガーゼでやけどをした場所を覆います。
- 水ぶくれは破らないようにしてください。
注意点: 氷や保冷剤で直接冷やすと、冷えすぎてしまうことがあります。必ず清潔な布などで包んでから使用するか、水で冷やしてください。広範囲のやけどや、深く白くなっているようなやけどは重症の可能性が高いです。
家族みんなで練習する・教え合う
これらの基本的な応急手当の方法は、頭で知っているだけでなく、実際にやってみることが大切です。
- 家族で役割を決める: 「お父さんは救急箱を探す」「お母さんは止血をする」「子供たちは声をかける、タオルを持ってくる」など、できることを話し合っておきます。
- 一緒に練習する: ケガをしている人を想定して、声をかける練習、布で押さえる練習などをしてみましょう。
- 子供への教え方: 難しく考えず、「血が出たら、きれいな布でぎゅっと押さえるんだよ」「熱いものを触ったら、すぐにお水で冷やそうね」のように、シンプルで具体的な言葉で伝えます。一緒に救急箱の中身を見るのも良いでしょう。
- 高齢のご家族へ: 慌てず、できる範囲で協力してもらうように伝え、無理はさせません。
わが家の「救急箱」を準備・確認する
災害時にすぐに応急手当ができるように、必要なものをまとめて「救急箱」として準備しておきましょう。持ち運びしやすいケースに入れるのがお勧めです。
救急箱に入れておきたいものリスト(例):
- 絆創膏(ばんそうこう)
- ガーゼ
- 包帯(ほうたい)
- テープ(ばんそうこうを貼るためのものなど)
- 消毒液(しょうどくえき)
- 痛み止めや熱さましの薬(かかりつけ医に相談して準備)
- 持病のある家族の薬(多めに準備)
- 使い捨て手袋
- ハサミ
- ピンセット
- 体温計
- 冷却シートや瞬間冷却パック
- 三角巾(さんかくきん:腕を吊るすなど多用途に使えます)
- 常備薬リストと連絡先(かかりつけ医、家族のアレルギー情報など)
- 応急手当の簡単な手順が書いてあるメモ
確認ポイント:
- 中身は期限が切れていませんか?
- 必要なものが全て揃っていますか?
- 家族みんながどこにあるか知っていますか?
- 定期的に(年に一度など)中身を確認し、入れ替えましょう。
地域の医療情報と外国人向け支援
災害時の医療体制については、お住まいの自治体の情報を確認してください。一時的に開設される医療救護所や、利用できる病院などが案内されます。
また、外国人住民向けの相談窓口や、多言語での情報提供を行っている団体があるかもしれません。普段から、お住まいの地域の役所や国際交流協会などの情報を調べておくと安心です。
まとめ:日頃からの準備が、もしもの安心につながる
災害はいつ起こるかわかりません。万が一の時に、家族の誰かがケガをしても、落ち着いて対応できるよう、基本的な応急手当の方法を家族みんなで学び、救急箱を準備しておくことはとても大切です。
今日からできることから始めてみましょう。家族で話し合い、一緒に練習し、いざというときに備えてください。日頃からの小さな準備が、もしもの時の大きな安心につながります。