もしもに備える!家族みんなで作る「わが家の避難計画」
はじめに:なぜ家族で避難計画が必要ですか
日本に住んでいると、地震や台風などの自然災害が起きることがあります。もしもの時に、あなたとあなたの大切な家族が安全に過ごすためには、事前に準備をしておくことがとても大切です。特に、日本語があまり得意ではない家族がいる場合、災害時にどうすればいいか分からず、不安になるかもしれません。
そこで役立つのが「わが家の避難計画」です。家族みんなで一緒に考え、話し合い、決めておくことで、災害が起きても落ち着いて行動できるようになります。この計画は、家族の状況に合わせて作るものです。子供や高齢者など、それぞれの家族が理解できる、シンプルで分かりやすい計画を目指しましょう。
このページでは、家族みんなで避難計画を作るための具体的なステップをご紹介します。
家族で避難計画を作るためのステップ
家族で避難計画を作ることは、少し時間がかかるかもしれませんが、とても重要な準備です。以下のステップで、一緒に計画を進めてみましょう。
ステップ1:家族で話し合う時間を作りましょう
まずは、家族みんなで防災について話し合う時間を作りましょう。災害が怖いと感じる人もいるかもしれませんが、「もしもに備えて、どうしたら家族みんなで安全でいられるか」という前向きな気持ちで話し合うことが大切です。子供にも分かりやすい言葉を選び、質問があれば丁寧に答えましょう。
ステップ2:自宅の安全を確認しましょう
家の中や周りに、地震などで落ちてきたり倒れてきたりする危険な場所がないか確認しましょう。
- 高い家具(タンスや本棚)は、壁に固定していますか? (図1をご覧ください)
- 窓ガラスには、割れても破片が飛び散りにくいフィルムを貼っていますか?
- 家族がよくいる場所の上に、重いものが置いてありませんか?
家族みんなで一緒にチェックリストを作り、危険な場所をなくすための対策を考えましょう。
ステップ3:どんな災害が起きる可能性があるか知りましょう
あなたが住んでいる地域では、どんな自然災害が起きやすいかを知っておきましょう。 * 地震 * 台風による大雨や風、洪水、がけ崩れ * 津波 * 火山噴火
自治体のハザードマップ(危険予測地図)を見ると、あなたの家がどのような災害の危険がある場所にあるか分かります。ハザードマップは自治体のウェブサイトなどで見ることができます。(図2をご覧ください)
ステップ4:避難場所・避難所を確認し、どこに行くか決めましょう
災害の種類やあなたの家の状況によって、どこに避難するかが変わります。
- 安全な親戚や友人の家:自宅が安全でなくなった場合、一時的に身を寄せる場所。
- 指定緊急避難場所:身の安全を確保するための場所。近くの公園や学校のグラウンドなど、一時的に避難する場所です。地震や洪水など、災害の種類ごとに指定されていることがあります。(図3をご覧ください)
- 指定避難所:自宅に戻れなくなった人が、一定期間生活できる場所。学校の体育館や公民館などが指定されています。
ハザードマップや自治体の情報で、あなたの家から一番近い避難場所や避難所を確認しましょう。家族みんなでどこに行くか、いくつか候補を決めておくと安心です。
ステップ5:避難経路を確認し、実際に歩いてみましょう
避難場所や避難所までの道を決めましょう。安全な道をいくつか考えておくことが大切です。
- 家具などが倒れて道をふさいでいないか。
- 川のそばなど、危険な場所を通らないか。
- 夜でも安全に通れるか。
昼間だけでなく、夜の避難も想定して、家族みんなで実際に避難経路を歩いて確認してみましょう。子供や高齢者の足に合わせて、無理のない時間で歩けるかどうかも確認しましょう。
ステep6:家族が離れている場合の連絡方法と集合場所を決めましょう
災害は、家族が一緒にいないときに起きるかもしれません。学校にいる子供、仕事中の夫や妻、外出中の高齢の家族など、離れている家族とどう連絡を取り、どこで会うかを決めておくことが非常に重要です。
- 連絡方法:携帯電話がつながらない場合に備え、災害用伝言ダイヤル(171)や、インターネットを使った安否確認サービスの使い方を確認しましょう。(既存の記事「家族が離れているときどうする?災害時の連絡方法と集合場所の決め方」も参考にしてください。)
- 集合場所:家が安全でなくなった場合や、家族がバラバラの場所にいた場合にどこで会うかを決めましょう。家から近い公園、駅、親戚の家など、分かりやすい場所を選びます。複数の場所を決めておくと良いでしょう。
ステップ7:避難するときの持ち物を準備・確認しましょう
避難が必要になった時、すぐに持って出られるように、必要な物をまとめた非常用持ち出し袋を準備しておきましょう。
- 水、食べ物(3日分が目安)
- ラジオ、懐中電灯、予備の電池
- 常備薬、救急セット
- 貴重品(現金、健康保険証のコピーなど)
- 着替え、タオル、ブランケット
- ウェットティッシュ、簡易トイレ
- モバイルバッテリー
- 外国人住民として必要なもの(在留カードのコピー、パスポートのコピー、母国語の防災マニュアルなど)
家族一人ひとりに必要なものを考え、リストアップしましょう。(既存の記事「家族みんなで確認!避難するときに本当に必要な持ち物リスト」も参考にしてください。)子供のお気に入りのおもちゃや絵本など、安心できるものを入れておくことも大切です。
ステップ8:災害の情報はどう得るか決めましょう
災害が起きた時、正確な情報を早く得ることが、安全な行動につながります。
- テレビ、ラジオ(NHKなど)
- インターネット(気象庁、自治体のウェブサイト、信頼できるニュースサイト)
- 自治体からの防災メールや防災無線
- SNSの信頼できる公式アカウント
特に外国人住民向けの多言語での情報提供を行っている機関やウェブサイトを知っておきましょう。
ステップ9:計画を書き出して、家族みんなで共有しましょう
話し合って決めた計画は、紙に書いたり、パソコンでファイルにしたりして、いつでも見られるようにしておきましょう。
- 避難場所・避難所の名前と住所
- 避難経路の地図
- 家族が離れている場合の連絡方法、集合場所
- 非常用持ち出し袋の中身リスト
- 災害情報の入手方法
これを家族みんなが見える場所に貼っておいたり、それぞれの携帯電話に写真で保存したりして、いつでも確認できるようにしましょう。子供には絵や写真を使って説明するなど、工夫して伝えましょう。
ステップ10:定期的に計画を見直し、訓練しましょう
一度計画を作ったら終わりではありません。家族の状況(引っ越し、家族が増えるなど)が変わったり、時間が経つと忘れてしまったりすることがあります。
- 年に一度など、定期的に家族で計画を見直す日を決めましょう。
- 非常用持ち出し袋の中身(特に食料や薬)の使用期限を確認しましょう。
- 可能であれば、実際に避難経路を歩く訓練などをしてみましょう。
家族みんなで取り組む大切さ
防災は、一人で準備するよりも、家族みんなで取り組むことが非常に大切です。家族で話し合い、一緒に準備することで、家族の絆も深まります。また、子供も防災の大切さを学び、自分で自分の身を守るための知識や行動を身につけることができます。
まとめ
家族で避難計画を作ることは、もしもの災害に備えるための最初の一歩であり、最も大切な準備の一つです。このページでご紹介したステップを参考に、ぜひ今日から家族みんなで話し合いを始めてみてください。そして、作った計画を定期的に見直すことも忘れずに行いましょう。
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