もしもの時、どこに逃げる?家族みんなで探す地域の安全スポット
なぜ地域の安全を確認することが大切なのでしょうか
地震や台風、大雨などの災害は、いつ起きるか分かりません。もしもの時、家族みんなの命を守るためには、事前に「どこに逃げるか」「どうやって安全な場所に行くか」を知っておくことがとても重要です。
自治体が出しているハザードマップ(災害の時に危ない場所が示されている地図)を見ることは、地域の危険を知るためにとても大切です。しかし、ハザードマップだけでは分からないこともあります。例えば、家の近くの古いブロック塀や、地震で倒れてきそうな電柱、大雨の時に水があふれやすい側溝など、実際に歩いてみないと気づかない危険もあります。
また、災害が起きた直後に、すぐに避難所に行けない場合や、一時的に安全な場所に身を寄せたい場合もあります。そのためには、自宅のすぐ近くにある、一時的にでも安全を確保できる場所を知っておくことが安心につながります。
この記事では、ハザードマップと合わせて、家族みんなで自宅の周りを歩きながら、地域の「危険な場所」と「安全な場所(安全スポット)」を確認する方法を具体的にご紹介します。これは、防災訓練の一つとしても非常に効果的です。
地域の「危険な場所」を知りましょう
まずは、ご自宅の周りにどのような危険があるかを知ることから始めます。災害の種類によって危険な場所は変わってきますが、特に注意したいのは次のような場所です。
- 地震の時に注意する場所:
- 古いブロック塀や石塀(倒れる危険があります)
- 電柱や自動販売機など、倒れてくる可能性があるもの
- 古い建物や、壁にひびが入っている建物
- 崖や急な坂の近く(土砂崩れの危険がある場所も)
- 道が狭く、建物が密集している場所(火災や建物の倒壊に巻き込まれる危険)
- 大雨や台風の時に注意する場所:
- 川の近くや、水路・側溝が多い場所(水があふれる危険)
- 低い土地や地下(浸水しやすい場所)
- 崖や急な坂の近く(土砂崩れの危険)
- 風で飛ばされそうなものが置いてある場所(看板、物置など)
- 大きな木の下(枝が落ちたり、木自体が倒れたりする危険)
これらの場所は、ハザードマップに記載されている危険区域(例えば、洪水浸水想定区域や土砂災害警戒区域)と重なることが多いですが、実際に歩いてみることで、より具体的な危険を肌で感じることができます。
地域の「安全な場所(安全スポット)」を探しましょう
次に、もしもの時に一時的に避難したり、家族と落ち合ったりできる「安全な場所」を探します。自宅が危険な状態になった場合に、まずどこに行けばよいかを知っておくことは、落ち着いて行動するために大切です。
安全な場所としては、次のような場所が考えられます。
- 広い場所:
- 大きな公園や広場
- 学校のグラウンドや校庭
- 大きな神社の境内やお寺の敷地など
- (一時的に)駐車場など開けた場所
- これらの場所は、建物の倒壊や火災から身を守るために有効です。
- 頑丈で安全な建物:
- 自治体の指定する一時避難場所(地域によっては、小学校や公民館などが指定されています)
- 比較的新しく、耐震性の高い商業施設や公共施設(あくまで一時的な判断の目安として)
避難所は、災害の種類や被害の状況によって開設される場所です。安全スポットは、災害が発生したその時に、自宅が危険になった場合などに、まず身の安全を確保するために一時的に利用できる場所と考えましょう。
また、家族が一緒にいないときに災害が起きた場合のために、事前に「家族の集合場所」を決めておくことも重要です。これも、地域の安全な場所の中から選ぶことができます。
家族みんなで実践!地域の安全チェックウォーキング
地域の危険な場所と安全な場所を確認するために、家族みんなで「安全チェックウォーキング」をしてみましょう。これは、ゲーム感覚で子供も楽しく参加できる防災訓練です。
準備するもの
- 地域の地図(自宅周辺の地図)
- 自治体から配布されたハザードマップ(あれば)
- 筆記用具(ペン、マーカーなど)
- メモ帳
- カメラ付き携帯電話やスマートフォン
- 歩きやすい靴と服装
- 飲み物
チェックウォーキングの手順
- 計画を立てる: 地図を見ながら、自宅から歩いて行ける範囲で、どんな道を通ってチェックするか、どこを見たいかを家族で話し合います。避難所までの道のりや、子供が通う学校までの道のりなどを中心に計画すると良いでしょう。
- 出発!: 家族みんなで声をかけ合いながら、出発します。子供には「探偵さんになって、町の危険な場所と安全な場所を見つけよう!」などと話すと、興味を持って参加してくれるかもしれません。
- チェックポイントを観察・記録する: 歩きながら、リストにあるような場所がないか、注意深く観察します。
- 「あの塀は古そうかな?もし地震が来たら危ないかもね」
- 「この道は、雨が降ると水が溜まりやすいって近所の人が言ってたよ」
- 「この公園は広いから、もしもの時、一時的にここに集まれるね」
- などと、家族で会話しながら確認しましょう。
- 見つけた危険な場所や安全な場所は、地図に印をつけたり、メモを書いたり、写真を撮ったりして記録します。子供に絵をかいてもらっても良いでしょう。
- 特に子供や高齢者にも分かりやすいように、具体的に「どこが」「どう危ないか」「どうすれば安全か」を説明してください。
- 安全なルートを考える: 危険な場所を避けて、安全に避難所や一時的な安全スポットまで行ける道筋を家族で話し合いながら確認します。いくつかのルートを考えておくと安心です。
- 一時的な安全スポットを確認する: 広場や公園など、一時的に身を寄せられそうな場所に行ってみましょう。そこまでにかかる時間や、目印になるものを確認しておきます。
- 帰宅後、情報を整理・共有する: 家に帰ったら、記録した情報(地図、メモ、写真など)を家族みんなで見直します。確認した危険な場所や安全な場所、避難ルートなどを家族で共有し、「わが家の安全マップ」のようなものを作ってみましょう。ホワイトボードや大きな紙に書き出すのも良い方法です。
確認した情報を家族で共有・活用しましょう
安全チェックウォーキングで分かったこと、家族で話し合ったことを、ぜひ「わが家の防災ルール」や「わが家の避難計画」に反映させてください。
- 「地震が起きたら、まずこの公園に集まろう」
- 「大雨の時は、この道は危ないから通らないようにしよう」
- 「危ないブロック塀のそばは歩かないように気をつけよう」
このように、具体的な行動を決めておくことで、もしもの時に慌てずに行動しやすくなります。
また、家族の中でも、日本語が十分でない方がいる場合は、絵や写真を使った安全マップを作るなど、視覚的に分かりやすい方法で情報を共有することが非常に有効です。
まとめ
災害から家族の命を守るためには、日頃からの準備と、地域についてよく知っておくことが大切です。ハザードマップで地域の危険を把握することに加え、実際に家族みんなで地域の安全チェックウォーキングをすることで、より実践的な防災につながります。
今回ご紹介した安全チェックウォーキングを、ぜひ家族で実践してみてください。そして、そこで得た情報を家族みんなで共有し、「わが家の防災」に活かしていきましょう。地域の自治体によっては、防災マップ作りに関するイベントを行っている場合もありますので、情報を確認してみることもお勧めします。
家族みんなで地域を知り、安全を意識して行動することが、もしもの時の大きな力となります。