もしも災害後、自宅で生活することになったら?家族みんなで安心できる暮らしの工夫
災害後、自宅で生活するための準備と工夫
大きな災害が起きた後、自宅に被害がなく安全である場合は、自宅で避難生活を送るという選択肢があります。これを「在宅避難」と呼びます。
在宅避難は、慣れた環境で過ごせるというメリットがありますが、電気やガス、水道といったライフラインが止まったり、お店で食料や生活用品が買えなくなったりすることがあります。家族みんなで協力して、限られた状況の中で安全に、そして少しでも安心できる生活を続けるための工夫を知っておくことが大切です。
このページでは、もしも災害後に自宅で過ごすことになった場合に、家族みんなで取り組める生活の工夫をご紹介します。
1. まず確認すること
自宅での避難生活を始める前に、いくつかの大切な確認が必要です。
- 自宅の安全確認: 家の傾きや壁のひび割れ、家具の倒れなどがないか、家族みんなで安全な場所から確認しましょう。危険を感じたら、無理せず安全な避難場所に移動することも考えなければなりません。
- ライフラインの状況確認:
- 電気はつくか?ブレーカーが落ちているだけかもしれません。安全を確認してブレーカーを上げてみましょう。
- ガスは使えるか?ガスメーターで安全装置が作動している可能性があります。復帰方法を確認しましょう。
- 水道は出るか?断水している場合は、備蓄しておいた水や、給水場所から運んだ水を使います。
- 電話やインターネットは使えるか?家族との連絡や情報収集に必要です。
- 備蓄品の確認: 食料品、飲料水、カセットコンロやガスボンベ、懐中電灯、携帯ラジオ、予備の電池、簡易トイレ、衛生用品(ウェットティッシュ、アルコール消毒液など)がどれくらい残っているか確認しましょう。
2. 食事の工夫
ライフラインが止まっている場合でも、栄養を考えた食事をすることは健康維持にとても重要です。
- 火を使わない・簡単な調理:
- 缶詰、レトルト食品、フリーズドライ食品はそのまま食べられます。
- カセットコンロがある場合は、お湯を沸かしてアルファ米やカップ麺を調理できます。換気を十分に行い、火の扱いに十分注意してください。
- 野菜ジュースや果物の缶詰でビタミンを補給しましょう。
- 限られた水での工夫:
- 食器はラップを敷いて使えば、洗う必要がありません。
- 調理器具の汚れは、キッチンペーパーなどで拭き取ってから少量の水で洗いましょう。
- 子供や高齢者への配慮: 柔らかいもの、食べやすいものを選びましょう。アレルギーがある場合は、備蓄品の中から安全なものを選んで準備します。
3. 衛生の工夫
水が自由に使えない状況では、衛生状態が悪化しやすくなります。感染症を防ぐためにも、工夫が必要です。
- トイレ対策:
- 断水時は水洗トイレが使えません。備えておいた携帯トイレや簡易トイレを使います。使い方は事前に家族みんなで確認しておきましょう。
- トイレを使った後は、必ずアルコール消毒液などで手指を消毒します。
- 手洗いの工夫:
- 水が貴重な場合、ウェットティッシュやアルコール消毒液が役立ちます。食事の前やトイレの後など、こまめに使用しましょう。
- 体の清潔を保つ:
- お風呂に入れない場合は、濡れタオルで体を拭いたり、ドライシャンプーを使ったりして、体を清潔に保ちましょう。
- ゴミの処理:
- ゴミは密閉できる袋に入れ、臭いが出ないように注意して保管します。
4. 休息と睡眠の工夫
不安な状況では、心身ともに疲れやすくなります。安全な場所でしっかり休息をとることが大切です。
- 安全な場所の確保: 自宅の中で、物が落ちてこない安全な場所を選んで家族みんなで過ごしましょう。
- 防寒・防暑対策: 毛布や寝袋、カイロなどで暖をとったり、タオルやうちわで暑さをしのいだりします。夏場は熱中症にも注意が必要です。
- リラックスできる時間: 家族で静かに話をしたり、ラジオを聞いたり、子供と一緒に絵本を読んだりするなど、少しでもリラックスできる時間を作りましょう。
5. 家族みんなで協力すること
在宅避難を乗り越えるには、家族の協力が不可欠です。
- 役割分担: 大人も子供も、できることから役割を分担しましょう。例えば、情報の確認、備蓄品の整理、食事の準備や片付け、小さな子供の世話など、家族みんなで協力することで負担が軽くなります。
- コミュニケーション: 不安な気持ちや困っていること、知りたい情報を家族みんなで共有しましょう。特に子供は不安を感じやすいので、「大丈夫だよ」と声をかけたり、話をよく聞いてあげたりしてください。
- お互いを気遣う: 限られた状況で一緒に過ごすことで、ストレスを感じることもあります。お互いの気持ちを理解し、思いやりの心を持つことが大切です。
6. 正確な情報収集
自宅にいても、地域の状況や今後の見通しを知ることは重要です。
- 信頼できる情報源: テレビ、ラジオ、インターネット(自治体のウェブサイト、気象庁など)から、正確な情報を得るようにしましょう。
- 多言語対応の情報: 自治体や国際交流協会のウェブサイト、防災アプリなどには、やさしい日本語や多言語で情報を提供しているものがあります。活用しましょう。
- 家族での情報共有: 得た情報は家族みんなで共有し、今後の行動について話し合います。
まとめ
災害後に自宅で生活することは、避難所とは異なる大変さがありますが、家族が協力し合うことで乗り越えることができます。事前に備蓄品を準備しておくこと、家族で話し合い、役割分担や生活の工夫について考えておくことが、もしもの時の安心につながります。この情報が、皆様とご家族の安全な生活の一助となれば幸いです。