家族みんなでチェック!災害発生後の自宅安全確認
はじめに:災害発生後、まず大切なこと
地震や台風、大雨などの災害が起きた後、揺れや雨風が収まってホッとするかもしれません。しかし、これで終わりではありません。次にとても大切なことは、ご自宅が安全かどうかを確認することです。
なぜ自宅の安全を確認する必要があるのでしょうか。それは、災害による被害が続いていないか、あるいは新たな危険がないかを知るためです。例えば、地震の後には家具が倒れてくるかもしれない「二次被害」の危険があります。また、建物が傾いていたり、ガスが漏れていたりする可能性もあります。
これらの危険を確認することで、ご自身やご家族の安全を守ることができます。そして、安全確認の結果に基づいて、「安全な場所で待機する(在宅避難)」のか、それとも「すぐに避難場所へ移動する(避難)」のかを判断することができます。
この記事では、災害が起きた後に、ご家族みんなでご自宅の安全をどのように確認すれば良いのか、具体的なチェックポイントと手順をご紹介します。お子さんや高齢のご家族とも一緒に確認できるよう、分かりやすく説明します。
なぜ自宅の安全確認が重要なのか
災害後の自宅安全確認は、主に次の3つの理由から重要です。
- 二次被害を防ぐため: 災害そのものによる被害だけでなく、その後に起こりうる危険(二次被害)から身を守るためです。例えば、壊れた家具の下敷きになったり、電気のショートやガス漏れによる火災が起きたりする可能性があります。
- 安全な場所を確保するため: 自宅の中で比較的安全な場所を確認したり、危険な場所を把握したりすることで、その後の余震などに備えることができます。
- 次の行動を判断するため: 自宅が安全であれば、ライフライン(電気、ガス、水道)の状況によっては自宅で過ごす(在宅避難)という選択肢が考えられます。しかし、自宅に危険がある場合は、すぐに避難場所へ移動する必要があります。この判断のために、正確な安全確認が必要です。
ご家族みんなで安全確認を行うことで、それぞれの役割分担もでき、危険な場所や安全な場所を家族全員で共有できます。
家族で一緒に!自宅の安全確認チェックポイント
災害が収まったら、落ち着いてご家族で声をかけ合いながら、以下のチェックポイントを確認してみましょう。危険な場所には近づかないように注意してください。
① 建物の外観を確認する
家や建物の外に出て、全体を見てみましょう。ただし、余震や落下の危険がないか十分注意し、長時間の確認は避けてください。
- 建物の傾き: 家が傾いていませんか?
- 壁のひび割れ: 壁に大きなひび割れや崩れはありませんか?特に基礎の部分や角を見てください。
- 屋根や瓦: 屋根や瓦がずれたり、落ちたりしていませんか?
- 窓ガラス: 窓ガラスが割れていませんか?窓枠が歪んでいませんか?
- プロパンガスボンベ(使用している場合): ボンベが倒れたり、配管が壊れたりしていませんか?ガス漏れの匂いがしないか注意してください。(ガス漏れの匂いがしたら、火を使ったり電気のスイッチに触れたりせず、すぐに安全な場所に避難し、ガス会社に連絡してください。)
② 家の中を確認する(注意しながら!)
家の中に入る前に、ドアや窓が無理なく開くか確認しましょう。家の中に入るときは、スリッパや底の厚い靴を履いてください。割れたガラスや散乱した物でケガをする危険があります。
- 天井や壁: 天井や壁が崩れたり、落ちてきそうになったりしていませんか?大きなひび割れはありませんか?
- 床: 床が抜けていたり、大きく傾いたりしていませんか?
- 柱や梁: 柱や梁に大きな損傷やひび割れはありませんか?
- ドアや窓: ドアや窓が歪んで開け閉めしにくくなっていませんか?
- 家具: 大きな家具(タンス、本棚など)が倒れたり、移動したりしていませんか?避難経路を塞いでいませんか?
- 電化製品やコード: 電化製品が倒れたり、コードが傷ついたりしていませんか?感電や火災の危険がないか確認します。(安全のため、揺れが収まったらすぐにブレーカーを切ることを推奨します。確認後に必要であれば入れ直します。)
- 火の元: ストーブなど火を使っていた場所の安全を確認します。ガス漏れの匂いはしませんか?(ガス漏れの匂いがしたら、絶対に火をつけたり電化製品のスイッチに触れたりしないでください。)
- 水道: 水道管から水漏れしていませんか?
【家族で確認するときのポイント】
- 落ち着いて声をかけ合う: パニックにならず、お互いに声をかけながら確認しましょう。「この部屋は大丈夫だよ」「ここが危ないよ」など、状況を共有します。
- 危険な場所には近づかない: 少しでも危険だと感じるところには、無理に入り込まないでください。
- 子供や高齢者への配慮: 小さなお子さんや高齢のご家族は、まずは安全な場所にいてもらいましょう。無理のない範囲で、簡単な確認(例: 「この電気はつかないね」)を一緒にしてもらうこともできますが、安全確保を最優先にしてください。
以下のようなチェックリストを事前に準備しておくと、災害時に慌てず確認できます。(図解やイラスト付きのリストが効果的です)
- わが家の安全確認チェックリスト例
- 外観(建物の傾き、壁のひび割れ、屋根瓦のずれなど)
- 室内(天井・壁の崩落、床の陥没など)
- ドア・窓(開閉、ガラス破損)
- 家具(倒壊、移動)
- ライフライン(ガス漏れ、電気コード損傷、水漏れ)
- 避難経路(家具などで塞がれていないか)
安全確認の結果、どう行動するか?
安全確認の結果によって、その後の行動が変わります。
① 自宅が安全と判断した場合
建物に大きな被害がなく、二次被害の危険も少ないと判断できたら、自宅で安全を確保することを考えられます。
- ライフラインの確認: 電気、ガス、水道が使えているか確認します。使えない場合の備えが必要です。
- 今後の情報収集: テレビ、ラジオ、スマートフォンなどで、気象情報や自治体の発表する避難情報などを集めます。
- 在宅避難の準備: 食料や水の備蓄、簡易トイレの準備などができていれば、自宅で安全に過ごせるかもしれません。
② 自宅に危険があると判断した場合
建物に大きなひび割れがある、傾いている、家具が倒れてきて危険、ガス漏れの匂いがするなど、自宅にいることが危険だと判断した場合は、迷わず安全な場所へ避難してください。
- すぐに避難: 非常持ち出し袋を持って、すぐに家を出ます。
- 家族で一緒に: 家族みんなで行動します。事前に決めておいた集合場所や避難場所に向かいます。
- 近所への声かけ: 安全であれば、近所の人にも声をかけ、一緒に避難できるか確認するのも良いでしょう。
- 避難場所での情報収集: 避難場所に着いたら、自治体などからの情報を集めます。
日頃から家族で話し合っておくこと
災害発生後の行動をスムーズにするためには、日頃からの準備と話し合いが非常に重要です。
- 自宅の弱い場所を知る: 自宅の中で、揺れに弱そうな場所や、家具が倒れそうな場所などを家族で共有しておきましょう。
- 安全な場所を決めておく: 「この部屋のここが一番安全だね」という場所を、家族で確認しておきましょう。
- 避難時の集合場所とルート: もし家族がバラバラの場所にいるときに被災した場合、どこで落ち合うか、どのルートで避難場所へ行くかを事前に決めておきましょう。ハザードマップを見て、安全なルートを確認することが大切です。
- 非常持ち出し袋の準備と確認: いつでも持ち出せるように、家族分の非常持ち出し袋を準備し、定期的に中身を確認・更新しましょう。
まとめ
災害が起きた後の自宅の安全確認は、ご自身やご家族の命を守るための、とても大切なステップです。慌てず、落ち着いて、そしてご家族みんなで協力して行うことが重要です。
この記事でご紹介したチェックポイントを参考に、まずは日頃からご家族で「もしも」の時の自宅の安全について話し合い、確認する練習をしてみてください。そして、いざという時には、この記事を思い出して、落ち着いて行動してください。
安全確認の結果、「危険だ」と思ったら、迷わず避難することが何よりも大切です。ご自身の判断だけでなく、自治体からの避難情報にも注意し、安全な行動を心がけましょう。