もしもの災害時、子供にどう伝える?家族みんなで学ぶ防災の話し方
はじめに
日本で生活する上で、地震や台風などの災害に備えることはとても大切です。特に小さなお子さんや、まだ日本語の理解が十分でない家族がいる場合、もしもの時にどうやって安全を確保するか、どうすれば良いのかを伝えるのは、親として大きな心配事かもしれません。
この記事では、災害が起きた時に子供たちにどうすれば良いか、そして普段からどのように防災について話し合えば良いかについてご紹介します。家族みんなで防災について知り、話し合い、準備することで、もしもの時も落ち着いて行動できるようになります。
なぜ子供に防災を伝えることが大切なのですか?
子供たちは、災害が起きると大きな不安を感じたり、パニックになったりすることがあります。何が起きているのか理解できず、どうすれば安全なのか分からないからです。
親や周りの大人が、災害について分かりやすく伝え、もしもの時にどうすれば良いのかを教えておくことで、子供たちは少しでも安心して行動できるようになります。また、家族の中で子供にしかできない役割があるかもしれません。子供自身が自分の命を守るための行動を知ることは、とても重要です。
子供に伝えるときの基本的な心構え
子供に防災について話すときは、不安や恐怖を必要以上に与えないように注意しましょう。大切なのは、「怖いこと」ではなく「もしもの時に命を守るための大切な約束」として伝えることです。
- 安心感を伝える: 「もしも怖いことが起きても、パパやママ、家族みんなで一緒に頑張ろうね」「大丈夫だよ」という安心感を伝えましょう。
- 正直に、でも優しく: 隠す必要はありませんが、衝撃的な映像や怖い話は避け、分かりやすい言葉を選びましょう。
- 一方的に話さない: 子供の質問に丁寧に答え、子供がどう感じているかを聞いてあげましょう。
- 普段の生活の中で自然に: 特別な時間を作るだけでなく、ニュースや絵本、アニメなど、普段の生活の中に出てくる災害に関することに触れる際に、自然に話してみましょう。
年齢別の伝え方の工夫
子供の年齢や理解度に合わせて、伝え方を変えることが大切です。
小さな子供(未就学児など)
- 絵本や歌、遊びを活用: 防災に関する絵本を読んだり、手遊び歌を取り入れたりすることで、楽しく学ぶことができます。「おかしも(押さない、駆けない、喋らない、戻らない)」など、短い合言葉も効果的です。
- ジェスチャーや絵で説明: 言葉だけでは難しい内容も、簡単な絵やジェスチャーを使うと伝わりやすくなります。
- 具体的な行動を繰り返し練習: 「地震が来たら、頭を守る」「火事の時は、姿勢を低くして逃げる」など、命を守るための具体的な行動を繰り返し練習しましょう。
小学生
- なぜそうするのかを説明: なぜ地震が起きるのか、なぜ火事の煙は危険なのかなど、理由を簡単に説明することで、理解が深まります。
- 一緒に考える時間を持つ: ハザードマップを見ながら「わが家の周りで危ない場所はどこかな?」「どこに逃げたらいいかな?」など、子供と一緒に考えましょう。
- 役割を決める: 家族会議で「もしもの時、〇〇ちゃんは非常用持ち出し袋を持ってね」「〇〇くんはペットの準備をお願いね」など、できる範囲で役割を決めることで、主体的に防災に関わる意識が生まれます。
- 学校での防災学習について聞く: 学校で習ったことを家庭で話してもらうことで、知識の定着につながります。
中学生・高校生
- 一緒に情報を調べる: 地域の防災情報、避難所の運営方法、災害ボランティアなど、インターネットや市の資料を使って一緒に調べてみましょう。
- 自分の安全だけでなく、家族や地域の安全も考える: 「自分に何ができるか」「周りの人をどう助けるか」など、より広い視点で防災を考えるきっかけを与えましょう。
- 災害用伝言ダイヤルやSNSでの安否確認方法を学ぶ: 災害時の連絡方法について、一緒に使い方を確認しておきましょう。
- 非常用持ち出し袋の中身を一緒に考える: 自分にとって必要なもの(メガネ、常備薬など)を自分で準備するように促しましょう。
家族で一緒にできる具体的な防災の取り組み
防災は、特別なことではありません。普段から家族で一緒に取り組むことで、自然と身につきます。
- わが家の避難計画を立てる: 「もしも家にいるときに災害が起きたら?」「学校や会社にいるときに起きたら?」など、状況別にどこに逃げるか、どう連絡を取り合うかを具体的に話し合い、書き出してみましょう。家族みんなが見える場所に貼っておくと良いでしょう。(参考記事:もしもに備える!家族みんなで作る「わが家の避難計画」)
- 非常用持ち出し袋を一緒に準備・確認: 家族それぞれに必要なものを考えながら、一緒に袋に詰めてみましょう。賞味期限があるもの(食料、水)や期限が切れるもの(電池)がないか、定期的にチェックすることも大切です。(参考記事:家族みんなで確認!避難するときに本当に必要な持ち物リスト、家族構成別!「わが家」の非常用持ち出し袋の中身と準備方法)
- ハザードマップを確認する: わが家や学校、職場などの周りで、どのような災害のリスクがあるのか(地震による揺れやすさ、洪水、土砂崩れなど)を家族みんなで確認しましょう。危険な場所や避難する場所(避難所)を知ることができます。(参考記事:家族みんなでチェック!ハザードマップでわかる災害リスクと避難場所)
- 家庭内や地域の避難訓練に参加・実施: 実際に体を動かして練習することが大切です。家庭内で「地震が来たらテーブルの下に隠れる」練習をしたり、地域の避難訓練に参加したりしましょう。(参考記事:わが家でできる!家族みんなで防災訓練の種類とやり方)
子供からの「怖い」「どうしよう」という気持ちに寄り添う
防災について話すと、子供が「怖い」と感じたり、不安になったりすることがあります。そんなときは、子供の気持ちを否定せず、優しく寄り添うことが大切です。
「怖かったね」「不安だね」と気持ちを受け止めた上で、「でも、〇〇ちゃんがもしもの時に大丈夫なように、家族みんなで準備しておこうね」「〇〇くんは、もしもの時にこうすれば安全だよ」と、具体的な安心できる行動を伝えましょう。
また、防災について話し合った後は、「これでわが家は安心だね」「よく頑張ったね」と、ポジティブな言葉で締めくくり、子供が安心して眠れるように配慮することも大切です。
多言語での情報活用とやさしい日本語
家族の中に日本語での情報収集が難しい方がいる場合は、やさしい日本語や多言語で提供されている防災情報を活用しましょう。自治体のウェブサイトや防災アプリには、様々な言語で情報が提供されているものがあります。(参考記事:家族みんなで使える!多言語防災アプリ・サイト活用法)
子供に伝える際にも、難しい言葉は避け、具体的な短い言葉や絵を積極的に使いましょう。家族みんなで同じ情報源を見ることで、共通理解を深めることができます。
まとめ
子供たちに防災について伝えることは、すぐに結果が出るものではありません。しかし、家族みんなで繰り返し話し合い、一緒に準備をすることで、子供たちは災害に対して正しい知識を持ち、もしもの時に自分の命、そして家族の命を守るための行動を学ぶことができます。
今回ご紹介した話し方や取り組みを参考に、ぜひご家庭で防災について話し合う時間を作ってみてください。そして、防災は「特別なこと」ではなく、家族の安全を守るための「当たり前の準備」として、日常の一部にしていきましょう。
この情報が、皆さんのご家庭の防災対策の一助となれば幸いです。