わが家でできる!家族みんなで防災訓練の種類とやり方
もしもの災害に備えて、ご家庭で「わが家の避難計画」などを話し合うことは、とても大切です。しかし、計画を立てただけでは、いざという時に計画通りに動けるかどうか分かりません。家族みんながスムーズに、そして安全に行動するためには、実際に「訓練」をしてみることが重要です。
この記事では、ご家庭でできる防災訓練の種類と、その具体的なやり方についてご紹介します。家族みんなで一緒に訓練をして、もしもの時に備えましょう。
なぜ家族での防災訓練が必要なのでしょうか?
災害は、いつ、どこで起こるか予測ができません。計画を立てていても、初めての状況では人は慌ててしまいがちです。家族での防災訓練は、以下のような点で役立ちます。
- 計画を実行できるようになる: 計画したことを実際にやってみることで、スムーズな動き方や、気づかなかった問題点を見つけることができます。
- 家族みんなの意識が高まる: 訓練を通して、家族一人ひとりが防災への意識を持ち、自分の役割を理解できます。特に子供や高齢者など、助けが必要な家族への具体的なサポート方法を確認できます。
- 冷静な行動につながる: 訓練を経験していると、「前にやったことがある」という安心感が生まれ、パニックになりにくくなります。
- 家族の絆が深まる: 一緒に訓練に取り組むことで、家族のコミュニケーションが生まれ、お互いを守り合う意識が高まります。
わが家でできる防災訓練の種類
ご家庭でできる防災訓練には、いくつかの種類があります。すべてを一度にやる必要はありません。ご家庭の状況や関心に合わせて、できることから始めてみましょう。
1. 避難訓練
- 目的: 災害発生後、安全な場所に避難するまでの流れを確認する訓練です。
- やり方:
- まず、「わが家の避難計画」で決めた避難場所や避難経路を確認します。
- 「地震発生!」など、災害が起きたことを想定した合図を決めます。
- 合図があったら、家族みんなで初期行動(身を守るなど)をとります。
- 安全を確認した後、避難場所への移動を開始します。実際に避難場所まで歩いてみるのも良いでしょう。
- 移動中は、途中の危険な場所(塀のそば、古い建物、川や崖など)を確認しながら歩きます。事前にハザードマップで危険箇所を確認しておくと役立ちます。(「家族みんなでチェック!ハザードマップでわかる災害リスクと避難場所」の記事も参考にしてください)
- 避難場所に到着したら、そこで何をするか(安否確認の方法など)も確認します。
2. 安否確認・連絡訓練
- 目的: 災害発生時、家族が離れ離れになった場合の連絡方法や集合場所を確認する訓練です。
- やり方:
- 事前に決めておいた連絡方法(災害用伝言ダイヤル、災害用伝言板、SNSなど)を使ってみる練習をします。(「家族が離れているときどうする?災害時の連絡方法と集合場所の決め方」の記事も参考にしてください)
- 家族がそれぞれの場所にいることを想定して、実際にメッセージを送受信してみたり、安否情報を登録してみたりします。
- 災害時に落ち合う集合場所まで、それぞれの場所からどのように行くかを確認します。
3. 初期行動訓練
- 目的: 地震発生時など、最初にどう行動するかを体に覚えさせる訓練です。
- やり方:
- 地震発生の合図とともに、「まず低く(DROP)、頭を守り(COVER)、揺れが収まるまで動かない(HOLD ON)」という初期行動(シェイクアウト訓練など)を家の中で実際にやってみます。
- 家具が倒れてこない安全な場所(丈夫なテーブルの下など)に隠れる練習をします。(「もしもの地震に備える!家族みんなで取り組む自宅の安全対策(家具固定編)」の記事も参考にしてください)
- 寝ているときに地震が起きたらどうするか、キッチンにいるときに起きたらどうするかなど、様々な状況を想定して練習すると、より実践的です。
4. 避難グッズ点検訓練
- 目的: 避難時に持ち出すものや、家に備蓄しているものを確認する訓練です。
- やり方:
- 「家族みんなで確認!避難するときに本当に必要な持ち物リスト」の記事などを参考に、事前に用意しておいた非常用持ち出し袋を実際に背負ってみます。重さや中身を確認し、必要なものが入っているか、家族それぞれが持てるかを確認します。
- 家に備蓄している食料や水、生活用品(トイレ、衛生用品など)の場所を確認し、賞味期限や使用期限をチェックします。(「もしもの時に困らない!わが家の「食べる・飲む」防災備蓄」の記事も参考にしてください)
- 家族に必要な特別なもの(薬、ミルク、おむつ、介護用品など)がきちんと準備されているか確認します。
訓練を成功させるためのポイント
- 家族で話し合って計画する: どんな訓練をいつやるか、家族みんなで話し合って決めましょう。「来週の日曜日の午後に避難訓練をしよう!」のように、具体的な日時を決めると実行しやすくなります。
- 無理なく、楽しく: 最初から完璧を目指す必要はありません。まずは簡単な訓練から始めてみましょう。特に子供には、ゲーム感覚で「防災ごっこ」のように行うと、楽しく参加できます。
- 役割分担を決める: 訓練の中で、誰が何をするか、簡単な役割を決めておくとスムーズです。(例:お父さんは玄関の確認、お母さんは子供と避難グッズを持つ、子供はヘルメットをかぶる練習など)
- 定期的に行う: 訓練は一度きりではなく、季節ごとや、防災の日(9月1日)などに合わせて定期的に行うことが大切です。繰り返すことで、いざという時に自然に体が動くようになります。
- 訓練の後に話し合う: 訓練が終わったら、「気づいたこと」「難しかったこと」「もっとこうした方がいいこと」などを家族みんなで話し合いましょう。そして、わが家の防災計画や準備を見直す機会にしてください。
まとめ
家族での防災訓練は、災害時に家族みんなの命を守るための、とても有効な手段です。計画を立てるだけでなく、実際に体を動かしてやってみることが、いざという時の冷静な行動につながります。
この記事でご紹介したように、避難訓練、安否確認・連絡訓練、初期行動訓練、避難グッズ点検訓練など、様々な種類の訓練があります。ご家庭に合った方法で、無理なく、楽しみながら、定期的に訓練に取り組んでみてください。
家族みんなで防災に取り組むことで、安全への意識が高まり、家族の絆もより一層強くなるはずです。地域の防災訓練や自治体の情報も活用しながら、わが家の防災力を高めていきましょう。