家族みんなで備える!非常用持ち出し袋と非常備蓄品、違いを知って賢く準備・点検
自然災害は、いつ、どこで起きるか分かりません。もしもの時に、あなた自身や大切な家族の命、そしてその後の生活を守るためには、普段からの準備がとても重要です。
災害への備えには、大きく分けて二つの大切なものがあります。「非常用持ち出し袋」と「非常備蓄品」です。これらはどちらも「備え」ですが、目的や中身、保管場所が少し違います。この二つを理解し、家族みんなで準備することが、災害への安心につながります。
この記事では、非常用持ち出し袋と非常備蓄品の違い、それぞれに何を入れたら良いか、そして家族みんなでどのように準備し、定期的に確認(点検・更新)すれば良いかをご紹介します。
非常用持ち出し袋とは
非常用持ち出し袋は、地震や火事などが起きて、すぐに安全な場所に避難する必要があるときに、最低限必要なものを入れて持ち出すためのものです。
- 目的: 災害発生直後の避難時に、命を守り、避難所などにたどり着くまでの安全を確保すること。
- 特徴:
- 持ち運びしやすいリュックサックなどにまとめておく。
- 避難する際にすぐに持ち出せるように、玄関や寝室など、安全な場所に置いておく。
- 家族一人につき一つずつ用意するのが望ましい。
- 中身は、避難後約1日(24時間)程度を過ごすために必要なもの。
非常備蓄品(非常食料備蓄)とは
非常備蓄品(非常食料備蓄とも呼ばれます)は、災害が発生した後、自宅での安全が確認でき、しばらく自宅で生活する場合(在宅避難)や、ライフライン(電気、ガス、水道)が止まってしまった場合に、生活を続けるために必要なものを家に備えておくものです。
- 目的: 災害発生後、ライフラインが復旧するまでの間や、避難所にすぐに行けない場合に、自宅で安全に生活を続けること。
- 特徴:
- 家の中の安全な場所(家具が倒れてこない場所など)にまとめて保管しておく。
- 家族全員が数日間(目安は3日~1週間)生活するために必要な量の食料、水、日用品など。
- 持ち出すものではなく、家に置いて使うもの。
非常用持ち出し袋と非常備蓄品、違いを整理しましょう
目的や役割が違うことが分かりましたね。分かりやすく表にまとめました。(※実際には表やイラストが入ります)
| | 非常用持ち出し袋 | 非常備蓄品(非常食料備蓄) | | :---------------- | :------------------------------------ | :---------------------------------------- | | 目的 | 災害発生直後の緊急避難 | 災害後の自宅での生活維持(在宅避難など) | | 持ち出し | すぐに持ち出す | 家に置いておく | | 保管場所 | 玄関や寝室など、すぐに持ち出せる場所 | 家の中の安全な場所(倒れてこない家具の近く) | | 量・期間の目安 | 避難後約1日分(最低限) | 3日~1週間分(家族全員) | | 主な中身 | 貴重品、ラジオ、ライト、水、簡単な食料、救急セットなど | 水、食料(多め)、カセットコンロ、トイレットペーパー、生活用品など |
このように、非常用持ち出し袋は「今すぐ逃げるため」に最低限必要なもの、非常備蓄品は「後から生活するため」に必要なもの、と考えると分かりやすいでしょう。どちらも、災害が起きたときに家族みんなが安全に過ごすために欠かせないものです。
家族で準備する!非常用持ち出し袋の中身リスト
非常用持ち出し袋に入れるものは、災害が起きた直後、すぐに持ち出して避難場所などに移動するまでに役立つものです。家族構成や季節によって必要なものは変わりますが、基本的なものをリストアップしてみましょう。
- 水: 一人1日500ml~1リットルを目安に、すぐに飲めるもの。
- 食料: 缶詰、カロリーメイトなど、火を使わずすぐに食べられるもの(一人1日分程度)。
- 貴重品: 現金(小銭もあると便利)、通帳、印鑑、保険証のコピー、身分証明書のコピーなど。
- 防災グッズ:
- ラジオ: 電池式で、広域の情報が聞けるもの。予備の電池も忘れずに。
- 懐中電灯(ライト): 夜間の避難や暗い場所で必要。予備の電池も。
- 携帯電話の充電器、モバイルバッテリー: 連絡手段として重要。
- 笛やブザー: 助けを呼ぶときに使う。
- 軍手: ガラスの破片などから手を守る。
- ヘルメットまたは防災ずきん: 落下物から頭を守る。
- マスク: ほこりや感染症対策。
- ウェットティッシュ、アルコール消毒液: 衛生対策。
- ゴミ袋: 様々な用途で使える。
- 救急セット: 絆創膏、包帯、ガーゼ、消毒液、鎮痛剤、胃薬など。普段使っている常備薬も忘れずに。
- 衣類など: 下着、靴下、タオル(圧縮タオルなども便利)。季節に応じた上着。
- 携帯トイレ: 避難中にトイレがない場合などに役立つ。
-
その他:
- 筆記用具、メモ帳
- 家族の写真(はぐれたときに探す手がかりになる場合がある)
- 家族や親戚、友人の連絡先リスト(携帯電話が使えない場合に備えて)
- 母国の緊急連絡先や大使館の情報(外国人住民向け)
- やさしい日本語や多言語での防災情報が載ったメモや冊子
-
小さなお子さんがいるご家庭:
- 粉ミルク、哺乳瓶、離乳食、おむつ、おしりふき
- 抱っこひも
- お気に入りのおもちゃや絵本(子供の安心につながります)
- 子供の健康保険証のコピー、かかりつけ医の情報
- 高齢者や体の不自由なご家族がいるご家庭:
- お薬手帳や処方箋のコピー、複数日分の常備薬
- 入れ歯用品、補聴器の電池、眼鏡
- 介護用品(おむつ、清拭剤など)
- 杖や車椅子の簡単な修理キット
これらをリュックサックなどに、重いものを下に入れるようにバランス良く詰めましょう。すぐに持ち出せるよう、玄関や寝室の近くなど、安全な場所に置いてください。
家族で準備する!非常備蓄品(非常食料備蓄)リスト
非常備蓄品は、災害後の自宅での生活や、避難所に行けない場合に備えるものです。家族みんなが数日間(目安は3日~1週間)過ごせる量を準備します。
- 水: 一人1日3リットルを目安に準備します。飲料水だけでなく、生活用水(手洗いなど)も別にポリタンクなどで準備できると良いでしょう。
- 食料:
- 加熱せずに食べられるもの(缶詰、レトルト食品、フリーズドライ食品、ビスケット、栄養補助食品など)
- お米(アルファ化米など、水で戻せるものも便利)
- 乾麺(パスタ、うどんなど)
- インスタント食品
- 普段食べ慣れているもの(子供や高齢者のために)
- ローリングストックを取り入れる:普段から少し多めに食料品や日用品を買い置きしておき、使ったら買い足す方法です。こうすることで、常に新しいものが備蓄され、無駄がありません。
- 加熱器具:
- カセットコンロとガスボンベ(多めに)
- 生活用品:
- トイレットペーパー、ティッシュペーパー
- 石鹸、シャンプー、歯ブラシ、歯磨き粉
- 生理用品
- おむつ
- ポリ袋、ラップ、アルミホイル
- 紙皿、紙コップ、割り箸
- ライター、マッチ
- ろうそく(火を使う際は安全に十分注意)
- 電池、懐中電灯(非常用持ち出し袋とは別に)
- 毛布、寝袋
- 簡易トイレ、凝固剤
- ガスボンベ式のストーブ(冬の場合)
- その他:
- 医薬品(常備薬、絆創膏など)
- メガネ、コンタクト用品
- 携帯ラジオ
- 工具セット(簡単な修理用)
- ビニールシート
- ビニール紐、ガムテープ
- 段ボール箱(簡易トイレや仕切りに使える)
これらは、倒れてこない棚の中や、床に置く場合は家具の下敷きにならないような場所に保管しましょう。家族みんなが保管場所を知っていることが大切です。
家族みんなで備えを始めるステップ
非常用持ち出し袋と非常備蓄品、どちらも一度に完璧に揃えるのは大変かもしれません。まずはできることから、家族みんなで始めてみましょう。
- 家族で話し合う:
- 災害が起きたらどうするか、どこに逃げるかなどを話し合います。(※関連する記事「わが家の避難計画」「避難場所」「避難行動」なども参考に)
- 家族それぞれに、必要なもの、困ることを聞き合います(アレルギーがあるか、どんな薬が必要か、子供が安心するものなど)。
- この記事のリストを見ながら、何が必要か、家に何があるか確認します。
- リストを作る・確認する:
- この記事のリストを参考に、わが家オリジナルのリストを作ってみましょう。
- 非常用持ち出し袋用、非常備蓄品用と分けてリスト化します。
- 揃える:
- リストを見ながら、足りないものを買い物に行ったり、ネットで注文したりして揃えます。
- 賞味期限や使用期限があるもの(食料、水、薬、電池など)は、期限が長いものを選びましょう。
- 詰める・保管する:
- 非常用持ち出し袋にリストを見ながら丁寧に詰めます。重さを確認し、持ち運べる重さになっているか確認しましょう。
- 非常備蓄品は、それぞれのリストを見ながら、家の中の安全な場所に保管します。分かりやすいようにラベルを貼るなどすると良いでしょう。
- 家族で共有する:
- 非常用持ち出し袋と非常備蓄品がどこにあるか、家族みんなで確認します。
- 中身リストも一緒に保管し、何が入っているか説明します。特に子供には「これはもしもの時の大切なものだよ」と伝えましょう。
備えはしたら終わりじゃない!定期的な点検と更新
一度準備したからといって安心ではありません。非常用持ち出し袋も非常備蓄品も、定期的に中身を点検し、必要に応じて新しいものに更新することが大切です。
- なぜ点検・更新が必要?
- 食料や水、薬、電池などには賞味期限や使用期限があります。期限が切れていないか確認が必要です。
- 電池は自然に放電して使えなくなることがあります。
- 家族構成が変わったり(子供が生まれた、大きくなったなど)、季節が変わったりすると、必要なものが変わります。
- 備蓄品の場所を忘れてしまうこともあります。
- いつ点検・更新する?
- 年に1回など、定期的に日を決めて行いましょう。「防災の日(9月1日)」や家族の誕生日など、覚えやすい日が良いでしょう。
- 家族の人数が増減したとき、引っ越しをしたときなども見直しの良い機会です。
- 点検・更新のやり方
- 非常用持ち出し袋や備蓄品を出して、リストと照らし合わせながら中身を確認します。
- 食料、水、薬、電池などの期限を確認します。
- 懐中電灯やラジオが使えるか、電池が残っているか確認します。
- 期限が近い食品は、普段の食事で計画的に消費し、新しく買い足します(ローリングストック)。
- 家族の変化に合わせて、必要なものを追加したり、不要になったものを減らしたりします。
- 保管場所を改めて確認し、家族で共有します。
まとめ
非常用持ち出し袋と非常備蓄品は、災害時に私たち自身と家族の安全を守るための、とても大切な「保険」のようなものです。これらを準備し、定期的に点検・更新することで、もしもの時にも落ち着いて行動するための安心感が生まれます。
一人で全て準備するのは大変ですが、この記事を参考に、家族みんなで協力して一つずつ取り組んでみてください。家族で一緒に話し合い、準備する時間そのものが、防災の意識を高め、家族の絆を強くすることにもつながるでしょう。
ぜひ今日から、わが家の非常用持ち出し袋と非常備蓄品の準備・点検を始めてみませんか。