もしもの災害時!小さなお子さんや妊婦さんのための防災対策
はじめに
災害は、いつどこで起きるか予測できません。特に小さなお子さんや妊婦さんがいるご家庭では、特別な視点からの防災対策が必要です。これは、体の状態や必要なものが、健康な大人とは異なるためです。
この記事では、小さなお子さん(乳幼児)や妊婦さんがいるご家庭が、災害に備えるために知っておきたい大切なポイントをご紹介します。ご家族みんなで話し合い、安心して過ごせるよう準備を進めましょう。
なぜ特別な備えが必要なの?
乳幼児や妊婦さんは、災害時にいくつかの点で特別な配慮が必要です。
- 体力と移動: 乳幼児は自分で素早く移動できません。妊婦さんも体調によっては移動が難しくなることがあります。避難する際に抱っこしたり、サポートしたりすることが必要です。
- 情報理解: 小さなお子さんは、災害が起きている状況や避難の指示をすぐに理解することが難しいです。大人が状況を判断し、安全に導く必要があります。
- 必要なもの: ミルク、おむつ、離乳食、特定の薬など、乳幼児や妊婦さん特有の必需品があります。これらは、災害時にも手に入りにくくなる可能性があります。
- 健康管理: 妊婦さんは定期的な健診が必要ですし、乳幼児は急な体調変化を起こしやすいです。災害時にも健康を維持するための備えが大切です。
具体的な備え:非常用持ち出し袋と備蓄の見直し
家族全員分の非常用持ち出し袋や備蓄に加えて、乳幼児や妊婦さん用の特別なものを準備しましょう。
乳幼児のための持ち出し品・備蓄
- ミルク、哺乳瓶、液体ミルク: いつものミルク、替えの哺乳瓶。お湯が使えない場合に便利な液体ミルクや使い捨ての哺乳瓶も検討しましょう。
- おむつ、おしりふき: 普段使用しているおむつと、たっぷり使えるおしりふき。ビニール袋も多めに。
- 離乳食、おやつ: 常温で保存でき、すぐに食べさせられるもの。食べ慣れているものが良いでしょう。
- 着替え: 季節に合った肌着、服、靴下、防寒具など。複数セットあると安心です。
- 抱っこ紐、おんぶ紐: 両手が使えて安全に移動できます。
- 毛布、バスタオル: 体温調節や衛生のために役立ちます。
- おもちゃ、絵本: 災害時、お子さんの安心につながります。コンパクトなものが良いでしょう。
- 健康保険証、母子手帳のコピー: 医療機関にかかる際に必要です。アレルギー情報や既往症などをメモしたものも一緒に。
- 常備薬、体温計、爪切り、保湿剤など: 普段使用しているケア用品や薬。かかりつけ医と相談しておきましょう。
- スタイ、ウェットティッシュ、消毒液: 衛生管理のために。
妊婦さんのための持ち出し品・備蓄
- 母子手帳、健康保険証、診察券: 医療機関にかかる際に必ず必要です。
- 常備薬: 医師から処方されている薬があれば、予備を用意しておきましょう。
- 生理用品、産褥パッド: 入院準備品としても使用するものです。
- 下着、着替え: 替えがあると安心です。
- タオル、ウェットティッシュ: 衛生管理に。
- 飲み物(水以外も)、軽い非常食: 水分補給と栄養補給のために。
- 体調管理のための記録: 血圧計や体温計、体調の変化などを記録するノート。
- かかりつけの産婦人科医や病院の連絡先: すぐに連絡できるよう控えておきましょう。
非常用持ち出し袋は、すぐに持ち出せる場所に置き、家族全員が場所を知っているようにしましょう。備蓄品は、普段から少し多めに買い置きし、古いものから使う「ローリングストック」を取り入れると管理しやすいです。
具体的な備え:避難計画の見直し
家族構成に乳幼児や妊婦さんがいることを考えて、避難計画を見直す必要があります。
- 避難経路と移動手段:
- 自宅から避難場所までの安全な経路を確認します。
- 抱っこ紐やベビーカーでの移動は、道幅や段差、階段が少ない経路を選びましょう。
- 車での避難が必要か、公共交通機関は利用できるかなども考慮します。(ただし、災害時は交通網が混乱することが多いです。)
- 可能であれば、複数の避難経路を確認しておきます。
- 避難場所の確認:
- 地域の指定避難所が、乳幼児連れや妊婦さんにとって利用しやすい場所か確認します。
- 授乳スペース、おむつ交換スペース、多目的トイレがあるかなどを事前に調べておくと安心です。
- 自治体のウェブサイトやハザードマップなどで、避難所の情報を確認しましょう。
- 避難のタイミング:
- 避難が遅れると、移動がさらに困難になる可能性があります。
- 自治体から「避難に時間のかかる人(高齢者や乳幼児など)は避難を開始してください」といった情報が出たら、早めに避難を開始することを検討しましょう。
- 河川の氾濫や土砂災害のリスクが高い場所に住んでいる場合は、特に早めの行動が重要です。
- 親戚や知人宅への避難(縁故避難):
- 避難所が混雑した場合や、自宅での避難が難しい場合に備え、安全な場所にある親戚や知人宅に一時的に避難できないか、事前に相談しておくことも有効です。
家族みんなで取り組む大切なこと
- 情報共有と役割分担:
- 家族全員で、非常用持ち出し袋の場所や避難計画について話し合い、共有しましょう。
- 災害発生時に、誰が何をするか(例:子どもを連れて避難する、非常用持ち出し袋を持ってくるなど)役割分担を決めておくと、慌てずに行動できます。
- 地域の情報収集:
- お住まいの自治体が、乳幼児や妊婦さん向けの防災情報や支援制度を用意しているか確認しましょう。
- 地域の助産師会や子育て支援団体などが、災害時の情報提供やサポートを行っている場合もあります。
- 定期的な見直し:
- お子さんの成長や家族の状況(妊娠週数など)によって、必要なものは変わります。
- 非常用持ち出し袋や備蓄品は、定期的に(年に1回など)中身を確認し、期限が切れていないか、季節に合っているかなどをチェックしましょう。
まとめ
小さなお子さんや妊婦さんがいるご家庭では、普段から少しだけ防災を意識しておくことが、もしもの時の安心につながります。特別なものを準備したり、避難計画を家族で話し合ったりすることは、決して難しいことではありません。
焦らず、ご家庭でできることから、一つずつ準備を進めていきましょう。そして何よりも、ご家族みんなで支え合い、協力し合うことが、災害を乗り越えるための最大の力になります。