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もしも災害時に家族が離れていたら?連絡方法と安否確認、合図の決め方

Tags: 災害対策, 家族, 安否確認, 連絡方法, コミュニケーション

はじめに:もしも災害時に家族が離れてしまったら?

災害は、いつ、どこで起こるか分かりません。もしも大きな災害が起きたとき、家族が一緒にいない可能性も十分にあります。たとえば、お父さんは会社、子供は学校や塾、お母さんは買い物中など、それぞれの場所で被災することもあるかもしれません。

家族と離れているときに災害に遭うことは、大変不安なことだと思います。お互いの安否が分からず、どうすれば連絡が取れるのか、どこで会えるのか、心配になるでしょう。特に、日本語でのコミュニケーションが苦手な家族がいる場合は、さらに不安が大きくなるかもしれません。

しかし、事前に家族で話し合い、いくつかルールを決めておくことで、この不安を減らし、もしもの時に落ち着いて行動できるようになります。この記事では、災害時に家族が離れてしまった場合の安否確認の方法や、事前に決めておきたい連絡方法、そして言葉がなくても伝わる「合図」についてご紹介します。家族みんなで一緒に考えてみましょう。

家族が離れるのはどんなとき?考えられる状況

災害時に家族が一緒にいない状況は、特別なことではありません。普段の生活の中で、家族それぞれが別の場所にいるときに災害が発生することは十分に考えられます。

また、大きな地震や広範囲にわたる台風などの災害では、地域が分断され、すぐに家族のもとに戻れない、連絡が取れないという状況も起こり得ます。

このような「もしも」の状況を具体的に想像してみることが、事前準備の第一歩です。

災害時、家族の安否を確認する方法

災害が発生すると、電話回線が混み合ってつながりにくくなることがあります。普段使っている連絡方法だけでは、家族の安否を確認できない可能性があります。いくつかの連絡手段を知っておき、状況に応じて使い分けることが大切です。

主に以下のような連絡手段があります。

  1. 携帯電話・スマートフォンの電話

    • 普段から使い慣れている方法ですが、災害時はつながりにくいことが多いです。
    • 同じ地域内にいる家族との短い連絡には使えることがあります。
    • ポイント: 災害時には、電話よりもインターネット回線を使った通信(データ通信)の方がつながりやすい傾向があります。
  2. インターネット回線を使った通信(SNSやメッセージアプリ)

    • LINE、X(旧Twitter)、Facebook、InstagramなどのSNSや、WhatsAppなどのメッセージアプリは、インターネットにつながっていれば利用できます。
    • 文字だけでなく、安否を示す簡単な写真やスタンプを送ることもできます。
    • ポイント: 通信量が少ない文字メッセージは、比較的つながりやすいです。無料通話機能はデータ通信量を多く使うため、つながりにくいことがあります。
  3. 災害用伝言ダイヤル(171)

    • これは、NTTが提供する声の伝言板サービスです。
    • 自分の電話番号を登録すると、声のメッセージ(30秒以内)を録音できます。
    • 家族は、同じ電話番号を入力することで、そのメッセージを聞くことができます。
    • 使い方は簡単です。
      • 録音する場合:「171」をダイヤル → 「1」をダイヤル → 自分の電話番号を入力 → メッセージを録音
      • 再生する場合:「171」をダイヤル → 「2」をダイヤル → 聞きたい人の電話番号を入力 → メッセージを聞く
    • ポイント: 自宅の固定電話、携帯電話、公衆電話から利用できます。毎月1日と15日には体験利用ができますので、家族で練習しておくことをお勧めします。

    • (図解やイラストを挿入することを想定したスペース)

      • 災害用伝言ダイヤル「171」の利用方法のイラストやフローチャートをここに挿入すると分かりやすいでしょう。
  4. 災害用伝言板(web171)

    • これは、インターネット上の伝言板サービスです。
    • パソコンやスマートフォンから「web171」にアクセスし、自分の電話番号などを入力して安否情報を登録・確認できます。
    • 文字でメッセージを残すことができます。
    • ポイント: インターネットにつながる環境があれば、どこからでも利用できます。多言語での利用も可能です。

    • (図解やイラストを挿入することを想定したスペース)

      • 災害用伝言板「web171」の画面イメージや利用方法のイラストをここに挿入すると分かりやすいでしょう。
  5. 自治体の安否確認システム

    • お住まいの市区町村によっては、独自の安否確認システムや情報共有サイトを提供している場合があります。
    • 事前に登録が必要なこともありますので、自治体のウェブサイトなどで確認しておきましょう。

これらの連絡手段の中から、家族構成や日本語能力を考慮して、どの方法を優先的に使うか、いくつか組み合わせて使うかなどを話し合っておくと良いでしょう。

事前に家族で決めておきたい連絡ルール

連絡手段を知っているだけでは十分ではありません。いつ、どのように連絡を取り合うかを具体的に決めておくことが大切です。

日本語が苦手な家族も安心!「合図」や「サイン」を決める

言葉での連絡が難しい場合や、電波が通じない場所でも、お互いの安否や状況を伝え合うことができる「合図」や「サイン」を決めておくことも非常に有効です。特に、小さなお子さんや日本語でのやり取りが難しい高齢の家族がいる場合に役立ちます。

これらの合図は、家族みんなが覚えておくことが重要です。子供にも分かりやすいように、色や形、簡単なジェスチャーなどを使うと良いでしょう。家族だけの秘密のサインにするのも良い方法です。

どこで落ち合う?「集合場所」を決めておく

災害が収束した後、または避難が必要になった場合、どこで家族と会うかを事前に決めておくことは非常に重要です。集合場所は、状況に応じていくつか決めておくと安心です。

  1. 自宅が無事な場合の集合場所:

    • 自宅が安全な場合は、まず自宅を目指すことを決めます。
    • ただし、自宅に戻れない場合も想定しておく必要があります。
  2. 自宅が使えない場合の集合場所(第一次集合場所):

    • 自宅が倒壊したり、火災が起きたりして戻れない場合に、まず向かう場所を決めます。
    • 自宅から歩いて行ける範囲で、安全な場所を選びましょう。
    • 例:近所の大きな公園、学校、コンビニエンスストアの前、友人の家など。家族みんなが分かりやすく、覚えやすい場所を選びましょう。地域のハザードマップで安全な場所を確認しておくことも大切です。
  3. さらに遠い集合場所(第二次集合場所):

    • 第一次集合場所にも行けない場合や、広域の災害で地域が分断された場合に、より遠くで安全な場所を決めます。
    • 例:親戚や友人の家、自治体が指定する広域避難場所など。
    • この場所に行くための別の経路も考えておくと良いでしょう。

集合場所を決める際には、以下の点に注意しましょう。

家族で「防災会議」を開いて話し合おう

これらの連絡方法や合図、集合場所などを決める一番良い方法は、家族みんなで話し合う「防災会議」を開くことです。

一度決めたことも、家族の状況が変わったり、時間が経ったりすると忘れてしまうことがあります。年に一度など、定期的に防災会議を開いて、内容を確認したり、新しい情報を加えたりすることをお勧めします。

まとめ:家族で「決める」ことが安心につながる

災害が起きたとき、家族と離れてしまう状況は誰にでも起こり得ます。不安を感じるのは自然なことですが、事前にしっかりと準備しておくことで、その不安を大きく減らすことができます。

この記事でご紹介した、いくつかの安否確認方法、事前に決めておくべき連絡ルール、日本語が苦手な家族も使える「合図」、そして集合場所を決めること。これらはすべて、もしもの時に家族がお互いを支え合い、再び一緒に過ごすための大切なステップです。

一番大切なのは、家族みんなで一緒に話し合い、理解し、共有することです。それぞれの家族の状況に合わせて、できることから始めてみてください。具体的な行動計画があることは、私たちに落ち着きと安心をもたらしてくれます。

お住まいの地域の自治体でも、災害時の情報提供や安否確認に関する支援が行われている場合があります。自治体のウェブサイトや防災パンフレットなども合わせて確認し、家族みんなで安全に過ごせるよう、準備を進めましょう。